とうもろこしは鮮度が命だから、朝採りをその日のうちに送る。私も長くそう考えていました。
考えが変わったのは、収穫直後の実に手を当てたときです。思っていたよりずっと温かい。もいだ後もとうもろこしは呼吸を続けていて、その呼吸のために自分が蓄えた糖を燃やします。温度が高いほど、呼吸は速くなる。つまり、温かいまま箱に詰めて送ると、輸送中もずっと甘さが減り続けることになります。
そこで、収穫したものをまず冷やす場所を作りました。作業小屋の壁に断熱材を入れ、中にプレハブ型の大きな冷蔵室を置いています。設定は2℃です。凍らせずに、冷やせるぎりぎりの温度に合わせました。ご家庭の冷蔵庫が5℃から10℃くらいですから、それよりもう一段冷たい部屋です。
ただ、表面が冷えても芯までは冷えません。芯まで完全に冷え切るには一晩かかります。だから収穫した日には出荷せず、翌朝に梱包します。
一日遅れます。それでも、芯まで冷えたものは輸送中に温度が上がりにくく、糖度を保ったままお客様のお宅に届きます。
一日待つ方が甘い。これが、私が20年かけてたどり着いた答えです。